KBCコラム

プログラム

相手に伝わったことが、自分が「伝えた」こと

2024/08/21

KBCαのまなびプログラム「コミュニケーション講座」は、授業時間の半分以上がアウトプットの時間。
意見発表の機会をたくさん設けている、子どもが主役の講座です。

子ども自身が「発表が楽しい!」「もっと意見を言いたい!」と感じること、自分の頭で考え、自分の言葉で伝えることを何よりも大切にしています。

そして、人前で自分の想いや考えを話したり、みんなで頭を寄せ合って話し合う中で、「伝えたい」ことが相手に「伝わる」にはどうしたら良いのか、子どもたちは考え学びます。

時に大人でも難しい、社会に出たときに本当に必要な「伝える力」を養います。
 

スタートは、「すき」「きらい」を伝えることから

「コミュニケーション講座」のスタートは、自分の好きなもの、嫌いなものを伝えることから始まります。

「~が好き」からスタートする子どもたちの意見発表は、徐々に「~したい」「~に賛成」「~するべき」と形を変えていきますが、どんな形の意見にも必ずつけ加えるのは「なぜならば」の言葉。
「なぜそう思うのか」と理由を話すことで、自分の想いが相手に伝わりやすくなることを、子どもたちはこの講座で学びます。

学年が上がるにつれて、意見発表の形も変化します。ノートに書いた意見をクラス内で発表するところから始まり、グループディスカッションやディベートを経験したり、大勢の人の前でスピーチをすることも経験します。
体と心の成長と共に少しずつレベルアップできるよう、プログラムを構成しています。
 

木が成長するように、コミュニケーション力を育む

KBCαのコミュニケーション講座は、4年間の継続講座となっています。

それは、子どものコミュニケーション力は短期間で身につくものではなく、たくさんの発表経験と成功体験を積み重ね、自信をつけていく中で少しずつ育まれるものだと考えるからです。

まるで、ひとつの小さな芽が1本の大きな木へと成長していくように、ゆっくりと時間をかけて育む力なのです。

4年間の講座は、土台作りのコミュニケーションベーシック、相互コミュニケーションの子どもスピークアップ、表現力を磨く子どもスピークアップアドバンス、そして考えを実現させるアクションにも挑戦するコミュニケーションマスター。

このようなステップアップ形式で構成されています。コミュニケーション力を育むために必要な要素を4年間で体系的に身につけられるよう、カリキュラムを組んでいます。

またオプション講座の『子どもライブラリー』は、木の成長を補完する役割を担います。
絵本や児童書を活用したカリキュラムで育まれる「語彙力」や「想像力」、「表現力」は、子どもたちの「伝える力」をより豊かにします。 

①コミュニケーションベーシック
相手に伝える楽しさを知る

賛成・反対、メリット・デメリットなどの言葉を使って相手が理解できる意見の伝え方を学びます。何よりも、子どもが手を挙げることに抵抗がなくなり発表することが楽しいと思えるように。1年の最後には『おうちの人へのお願いプレゼン』に挑戦!

②子どもスピークアップ
みんなで意見をまとめる

「学年の異なる子どもたちが楽しめるイベントを考えよう」等、身近なテーマで課題の解決やイベント企画などの話し合いに挑戦。司会はコーチですが、相互コミュニケーションであるディスカッションでは子どもたちの意見が活発に飛び交います。自分の意見の主張だけでなく、他者の意見を理解して受けとめる中で自分の意見が変化していくことも経験していきます。

③子どもスピークアップアドバンス
伝える表現力を身につける

3年目は、より言葉に想いを乗せて話すプレゼンに挑戦します。ジェスチャーをつけたり、声の抑揚や目線など、聞き手に届く話し方を意識します。前期のカリキュラムには毎回1分間スピーチの時間があり、子どもたち同士でも、そのスピーチの良かったところやアドバイスを伝えあい、お互いに高め合って成長することを目指します。1年の最後には「身近な社会(地域・学校など)への提案」をスピーチに。

④コミュニケーションマスター
子どもが主体的に学ぶ

4年目の講座で大きく変わるのは、「子ども主導」ということ。みんなで社会課題の解決に取り組み、自分たちは何ができるか探求し、解決に向けたアクションを身近なコミュニティで実践します。コミュニケーション講座の集大成!
 

親でも先生でもない、放課後を一緒に過ごす「キッズコーチ」が講師を

コミュニケーション講座の講師は、KBCのキッズコーチが務めます。専門家や外部の先生に講師を委託するのではなく、放課後の日常を一緒に過ごすキッズコーチが、講師として子どもたちと向き合います。
普段から子どもたちと「身近な大人」として接しているキッズコーチだからこそ、子ども自身が「伝えたい!」「話したい!」と思えたり、伝えたいことがなかなか言葉にできなくても、キッズコーチが寄り添い、考えることで子どもの考えを引き出すことができます。
実際に講師を担当しているキッズコーチも、子どもたちの成長にいつも驚かされます。
 

話すのはキッズコーチではなく
子どもたち!

その子が考えていることをしっかり引き出してあげることがキッズコーチの主な役割で、キッズコーチ自身が子どもに「教える」ことって実はあまりないと思っています。プログラムの時間は、子どもと言葉を通して濃密なコミュニケーションがとれる、キッズコーチが話すのではなく子どもに話してもらう時間です!

「子どもの思考回路」を
のぞいているような楽しさ

講座を通して子どもとやりとりする中で、「子どもの思考回路を覗いている」ような感覚があります。普段はあんなに活発に遊んでいる子が、こんなふうに論理的に考えることもできるんだ、とか、自分の好きなことについてはこれだけ意見が出せるんだ、とか、普段の保育だけではわからない、その子自身に向き合える時間です。
 

勉強とは違う
「頭を使う楽しさ」を知る

単純に、子どもたちが楽しそうにお話ししてくれるのが嬉しくて。子どもたち自身が楽しくないと意味がない講座で、遊びには「遊びの楽しさ」がある中で、コミュニケーション講座には、たとえ勉強が嫌いな子でも「頭を使う楽しさ」を知ることができると思います。

自信が持てるようになり
子どもの顔つきが変わる!

自分の意見をしっかり伝えられると、相手に受け入れてもらえるようになり、同時に自分も相手を受け入れられるようになります。そうすると、自分自身の行動や発言にも自信が持てるようになり、子どもの顔つきが本当に変わります!本当にいい顔になるので、その過程を見せたいくらいです…成長を感じる場面は多々ありますが、一番わかりやすいところかなと思っています!

自分の意見を言えることの
尊さ

日々の出来事に「なぜ?」「どうして?」と疑問を持てること、それに対して自分の意見が言えることって、実はすごいことです。そして、その考え伝える力を大人になってから活かしてほしい。そう思いながら講座の開発に携わっています。KBCで学んだことで、必ず自分の道を切り開いていけると信じています!

スピーチコンテストも、キッズコーチが伴奏しますが、主役はもちろん、子どもたち。

大人顔負けの、子どもにしかできないスピーチコンテストです。

子どもたち自身が自分の成長を感じる場所
スピーチコンテスト

スピーチコンテストは、「子どもスピークアップ」講座の開設期に”子どもたち自身が自分の成長を感じ、成果発表できる場所”をつくりたいとキッズコーチが考え、2017年度からKBCαの一大イベントとして、毎年3月に開催してきました。
現在は、2年目から4年目の講座の受講生を対象にコンテストを開催しています。
KBCαで過ごす普段の放課後の時間にも、帰りの会「キッズミーティング」のように子どもが自ら発表する場はありますが、「コンテスト」は、やはり特別な場所。
広いホールのステージに立ち、スポットライトを浴びて、いつもより少しきちんとした服装で行うスピーチは、子どもたちにとって貴重な経験になると思っています。緊張をしても、言葉に詰まっても、ステージの上にいるのは自分ひとり。自分の力でスピーチできた経験や、ステージの上から見た光景は、きっと、子どもたちの中に残り続けます。
 

スピーチテーマは、子どもの成長に合わせて

コミュニケーション講座では、子どもの成長に合わせて少しずつ視野を広げられるように…という願いをこめて、年次ごとにディスカッションテーマやスピーチテーマ、プレゼンする対象を変えています。2年目は「自分のこと」を「身近な人」に向けて、3年目は「自分の身近な社会」について、4年目は「日本」や「世界」に目を向けます。
1年間の集大成であるスピーチコンテストのスピーチテーマも、学年(年次)によって異なり、小さな学年の子どもたちは上級生のスピーチを見て、その姿を目標にしていきます。

子どもスピークアップのスピーチテーマ
『ぼく・わたしが伝えたいこと』

将来の夢、自分が成長したこと、心に残っている思い出、来年度の目標、憧れの人など、今自分が考えていることで伝えたいことを、心を込めてスピーチします。
 

子どもスピークアップアドバンスのスピーチテーマ
『ぼく・わたしからの提案』

学校や地域など、自分の身近な社会について、「こうなればもっと良くなる!」と思っていることを「提案」としてスピーチします。
 

コミュニケーションマスターのスピーチテーマ
『一年の成果発表』

SDGsの目標など、世界が取り組む社会課題において、自分たちができることを考え、具体的なアクションや提案に取り組んだ1年間の学習内容をグループで発表します。